アストンマーティン Rapide 2013年モデル

アストンマーチン専門店様から『ABS,DSC警告灯点灯で入庫した、アストンマーティン Rapide 2013年モデル』のABS修理のご依頼をいただきました。
診断もお済みでしたので、故障コードを教えていただき、弊社で修理可能と判断しました。
今回は、ABSユニットを宅配便でお送りいただき修理をしていきます。
ABSユニットの到着&ご報告
まずは、どのような状態になっているのかをご報告するためにABSユニットを分解します。
▼ABSユニット:ポンプ側
今回の故障原因となったのがこちらのポンプ内にあるモーターです。

モーター部分に水が浸入したようで錆びていました。
▼ABSユニット:基板

コンデンサから電解液が漏れているのがわかります。
今の所、この状態でも大丈夫そうですが、しばらくすると機能しなくなるでしょう。
コンデンサやトランジスタは消耗部品です。
1つ機能しなくなるたびに分解していてはコストがかかってしまいますので、長持ちする部品に交換します。
こちらのお写真と内容とメールにてご報告。
ご了承いただきましたので作業を進めていきます。
モーターのサビ
モーター部分のベアリングにサビがあります。ベアリングは取り外して交換します。
モーターコイルのシャフトが入る場所です。スラストベアリングにもサビ、汚れ、ゴミがあるので分解清掃をします。

広範囲に渡りサビています。
ベアリング部分とDSC内部に水分が混入したことが原因でこのようになったと考えられます。
そしてコイルベアリングを外すと・・・
内部のシャフトが錆びて固着していました。
左右2つのシャフトを外し、サビを取っていきます。
800番のサンドペーパー
こちらでサビを取っていきます。清掃して、サビを落としたシャフトを装着します。

▲ 拡大作業動画
【ベアリング清掃】
【ベアリンググリス充填】
モーターのサビのほかに、コイルの焼けもありました。
コイルの焼け
こちらはモーター内のコイルです。焼けてしまっています。
こちらは再利用できない状態でしたので交換し、ブラシ部分も調整をします。組み立て&防水処理
ユニットを組み立て、防水処理をします。

エポキシで覆りました。これで水分の混入を完全に防ぎます。
こちらで修理完了。梱包して宅配便で納品となります。
なぜこんなにサビてしまったのか?
サビた理由は、ABSユニットの取り付け位置にあります。
メーカーや車種によって取り付け位置が異なるABSユニット。
多くは運転席前などにあることが多いのですが、アストンマーチンの場合は前タイヤ付近にあります。
別の車両の写真を参考にご紹介させていただきますと……
前タイヤの奥、黒いカバーを外し
その奥にABSユニットが設置されています。
(▲イメージ画像)そのため雨天走行時に、このカバーの隙間から水が入ってしまう可能性があるのです。車両の下の方に装着されているので雨の日の走行などで若干水分が浸入しやすい構造になっていると言えます。
Jスクエアでは対策として、ABSの修理後に、モーター部分の通常の防水パッキンの上からさらに2液のエポキシで完全に水が混入しないように加工を実施しています。
この度はご依頼いただきありがとうございました!