BMW E38 ABS修理
BMW E38 ABSランプ点灯しているとのことでご来店くださいました。
診断〜修理
診断
▼入力されていた故障コードがこちら
故障コードから舵角センサーを疑いましたが、舵角センサーのハンドルを動かしての読み取り数値に変化がないので舵角センサーは正常のようです。
次は下記の3つのセンサーの調整し、試運転します。
- ステアリング舵角センサー
- 回転数センサー
- 横方向加速度センサー
走行テストで速度が20kmに達した時点で警告ランプが点灯しました。
『舵角センサーの起こし動作が上手くいっていない状況』ではないかと思いました。
舵角センサー作動方式
舵角センサーの起こし動作とは
ステアリング舵角センサーには90°ずれた122のポテンションメーターがあります。このポテンションメーターによって算出された舵角はステアリングホイールの全回転のそれぞれ値が繰り返されます。ステアリング舵角センサーはこれを検知してステアリングホイールの回転数をカウントしています。
総舵角を利用するためには全てのステアリングの運動を車両停止時でも漏れなく測定する必要があり、これを行うためにステアリング舵角センサーはKl,30を通じて常時通電されています。そのためステアリングの動きがイグニッションオフ時でも検出できます。
ポテンションメーターにより検出された舵角は通電を切った後でも利用できますが、ステアリング回転数は利用できません。
通電を切った後でもステアリング舵角センサーが作動を続けられるように、ホイール回転数からステアリングホイール回転数を算出するソフトウエアが組み込まれているのですが、この動作は初期化または起こし動作と呼ばれています。
車両始動後車速が20km/h程度になるまでに起こし動作が上手くいかないとDSCがパッシブになり、DSC警告灯が点灯してDSCコントロールユニットに故障が登録されます。起こし動作はステアリングホイール回転数のデータがない場合イグニッションオン後毎に繰り返されます。
DSCコントロールユニットでは、機能をさらに確実なものとするためホイール回転数を元にした舵角計算も行われていて、これがステアリング舵角センサーによって測定されたものと比較されています。
この妥当性点検により、車両が誤った調整値で作動することが防止されます。ニュートラル位置の誤りは、調整不良のせいか、または損傷や修理によるステアリングジオメトリーの変化が原因で起こります。
より安全性を高める要素としては、センサーと車両との正確な対応が必要です。
こういったことから、舵角センサーの起こし動作の不良を疑いましたが、テストプランの結果こちらも問題ありませんでした。
再度診断
故障コードをリセットし、再度診断した結果、新たなコードが出てきました。
0072 カムシャフトセンサーカムシャフトセンサー信号バンクエンジン警告ランプが点灯してないため重要な故障と判断しない
まずは、ブレーキプレッシャセーセンサーのテストをしましたが、正常な数値を示していました。
あとはポンプ系の作動不良が考えられるので、DSCポンプ、プリチャージポンプのアクティブテストをします。(強制的にモーターを駆動させる)
- DSCモーター正常に動く
- プリチャージポンプ動かない
- プリチャージポンプの強制駆動を実施 ABSランプが点灯
この結果、プリチャージポンプに不具合があると断定できます。
プリチャージポンプ
プリチャージポンプの場所は矢印の箇所にあります。
プリチャージポンプを分解してみるとベアリングとシャフト部分がサビで一体化していました。これではモーターが動かないはずです。
サビや固着でベアリングがロックした場合は、モーターが焼けて火災になる可能性があり、大変危険です。
ベアリングを新品に交換し、正常に動くようになりました。
モーター系の故障、DSCユニット故障などは修理で対応できることが多いです。お気軽にお問い合わせください。