VW ABS修理
VWディーラーさんでのABS修理のお見積もりで、
60万円を超えてしまったとのことで、ご相談いただきました。
遠方からありがとうございます!
診断
▼点灯していたランプはこちら
- ABS
- ESP
- サイドブレーキランプ
- ウォッシャーランプ
※ウォーシャー液が入っていないと言う警告→こちらはABSには関係ありません。
まずは診断機にて故障箇所を調べていきます。
弊社のオーバーホール修理で対応できるコードが入力されていました。
ABSユニット取り外し〜修理
ABSユニットの場所はエンジンルームの助手席前
バッテリーの後ろあたりに装着されています。
こちらが修理するABSユニットです。
基板修理
まずは基板内部の点検です。
コンデンサー、トランジスター交換、ICハンダ再生といった作業をしていきます。
▲こちらは、ABSユニットに使われているIC専用に設計して製作してもらった機材です。
四角いところからピンポイントで熱風を送り、ICのハンダを再接着させることができます。
この特殊工具は、IC以外の部品のハンダを溶かしてしまうことを防いでくれます。
モーター部分の修理
続いて、ハイドロポンプ、モーターの修正をしていきます。
モーター部分を外すと隙間からブレーキオイルが出てきました。
通常モーター内部にはブレーキオイルは流入しません。
オイル漏れが疑われます。
モーターを分解したところ、ブレーキオイルがモーター内部の電気回路に侵入しており、モーターコイルが焼けこげておりました。
こちらは再使用ができないために交換になります。
モーター部分を外すと、ハイドロユニットのシャフトが見えてきます。
こちらの2つのシャフトからブレーキオイルが漏れ出していました。
シャフトを外したところです。
こちらからブレーキオイルが漏れてきたようです。
通常はブレーキオイルはこのシャフトからは漏れないのですが、
ブレーキオイルの劣化や、汚れ、サビによってブレーキオイルが漏れてしまうことがあります。
錆びているシャフトを綺麗に清掃して組み付けます。
シャフト部分は取り外して清掃できるのですが、シャフトが入る側はアクセスができないため
錆や、汚れが完全に取り除けたか判断ができません。
万一錆が残っている場合のことも考えて、シャフトに錆止めのグリスを塗ります。
▲粘度が高いグリスがおすすめ。
ブレーキパットにも使用できるグリスで、熱にも強いです。
丸い穴が開いている箇所は、ブレーキオイルが通る所なのでグリスは塗りません。
▲こちらの箇所のみに塗ればOKです。
故障原因
今回のABSユニットは、ブレーキオイルがモーター内部に侵入したことで不具合が起きていました。
あまりない事例です。
そして気になったことは、ブレーキオイルの汚れが目立っていたことです。
車検の際、2年ごとにブレーキオイル交換していない場合は
シール類の劣化などによってオイル漏れが起きるのはよくありますが
2年ごとに交換をしているのに汚れが目立つ、と言う場合は
ブレーキオイルを完全に交換できていないという可能性が考えられます。
ブレーキオイル漏れを防ぐには
- ブレーキオイルを2年ごとに交換する
- ブレーキ圧送機を使用してブレーキオイルを完全に交換する
フットブレーキを踏んで2人でエア抜きする方法もありますが、圧送機を使用した方がかるかに良いです。
完全にエア抜きができます。
圧送機を使用してのメリット2つ
- マスターシリンダー内部のシールの消耗を完全に防ぐ
→フットブレーキを踏むエア抜きはシールに負担がかります - 1~2リットルの少ないオイルで、完全にオイルを交換できる。
→オイル代金の節約 - 1人で作業できる為、効率の良く進めることができる
ブレーキオイルの劣化でブレーキ液の沸点が下がります。
そのため沸騰しやすくなり、気泡が発生。
結果ブレーキが効かなくなる、ペーパーロック現象を招いてしまいます。
これらを防ぐためにも定期的な交換が必要になります。
弊社ではABS修理だけでなく、車検時にもこの圧送機を使用して完全にブレーキオイル交換作業をしていますのでご安心ください。